おいしさは笑みDeliciousness is a smile
人は、美味しいものを食べると笑顔になる。そんな笑顔を見るとまわりも笑顔になる。そして笑顔が伝わって、作り手に届く。
久方ぶりに田舎に帰った。
おばあちゃんが一人で暮らす家の引き戸は、少し、重たく感じた。
引き戸を少し開けて、顔だけ入れる。
「ただいまー」
「あらーめずらし。おかえり」
おばあちゃんが昼ご飯を作ってくれた。
「はい、できたよー、はいからさんが通るよー」
「ありがとう、はいからさん? ライスバーガー?」
山菜を想像していたけど。えっ?
「いんすたはえ」
「ハエ?」
「いんや、映え」
僕は、大喜びで頬張る。
そして、めったに帰省しない自分に怒り、少し哀しくなって、食べ終えた。
おばあちゃんは喜怒哀楽を、全部まとめて、笑っていた。
ようこそ「笑みの扉」へ、「おかえりなさい」